メモリーズ 収録~大砲の街
「撃てや撃て、力の限り、街のため。」
そこは、大砲を撃つために作られた街。
大砲は毎日、決められた時間に
敵に放たれる。
街の産業は、もちろん大砲作り
大人たちは、みんな大砲に携わる仕事に就いている。
少年は、そこで生まれ
そこで育つ。
少年の夢は、父のような装填手ではなく
ピカピカの花形、砲撃手。
ちゃんと勉強して、沢山食べて、
大きくなればきっと夢は叶う。
「あれっ?でも僕らはどこに大砲を撃ってるんだろう?」
———-
これぞスチームパンク。
無国籍で、時代設定が不明で
男の子が夢見た
薄汚れたレトロフューチャーといったところでしょうか。
お話の舞台は、不思議な工業都市。
街の住居、工場、ありとあらゆる建物の屋根には大砲が、
まさに大砲の街。
その中でもひときわ目立つのが、
パリ砲のような巨大な砲台。
この赤い長距離砲が、兵器として、シンボルとして街に
君臨しています。
戦時下である街から、
日に幾度となく行われるその巨大な砲撃は
儀式的なものではなく
確かに敵に向けて撃たれているのです。
しかし、不気味で、不思議なほど
住民のナショナリズムを煽る為の
敵国のプロパガンダなどは行われていません。
そしてある日、子は父に問います。
「僕らは誰と戦争してるの?」
父は言います。
「そんな事は大人になれば解るよ・・・」
僕は思います。
これは、ひょっとして作中の大人たちも
何が脅威で戦っていてるかを知らないし、
只、漠然とした恐怖に対して
闇雲に、砲弾を撃ち続けているだけなので
子供に答えられないのではないか?と。
そう、現実世界の大人たちも
それを知らないように。
本作は、共同体の曖昧な目的がもたらす滑稽さを
感じさせてくれる不思議なお話。
———-
文明社会を潤滑に回すコツ。
それは人々をを忙しく動き回らせ考えないようにさせることである。
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