カフェオレ・ジプシー
俺は、西部のさすらい者。
俺は、他のガンマンと同じくバーに立ち寄り
スイングドアを開け中に入っていく。
しかし、俺が他のガンマンと違うのは、
俺がおやじに頼むのは、酒ではなく
「カフェオレ」だという事。
「カフェオレ?なんだそれは?
うちはウィスキーしか置いてない。
飲めないなら帰れ」
「ミルクとコーヒーもないのか?」
「・・・あるが。それがなんだ?」
「ならそいつを半分ずつ混ぜてくれ。
それがカフェオレだ」
いつものやり取りを済ますと、
おやじは、渋々、はじめてのカフェオレを俺に出す。
そして、そんなもの美味いのか?と
いぶかしげに。
カフェオレを啜る俺から目を離さない。
俺が、ここにやって来てからいつもこれだ。
おやじが言うように、この場所に合わせて、
アルコールかコーヒーを飲めばいいものを
俺は、どうにもこの茶色い飲み物を止められない。
そして、カフェオレを止めた方がいい理由は
この次にある。
「おい。お前見ねぇ面だなぁ。
なんだその気持ち悪い飲み物は?
なんだか、その飲み物を見てるとムカムカするぜ!」
「それに、お前どこの人間だ。
奴隷みたいな肌の色をしやがって。
何もんだ」
これだ。面倒なのは、このやりとりだ。
いつもこうなるのを解ってるのに、カフェオレを飲んでしまう。
この場合、俺が悪いのかも知れない。
「ただの旅人だ。これを飲んだら消える。
肌の色は、父が黒人で母が白人だから
俺は、この色で産れてきた。それだけだ」
「はぁ~!?
なんで、奴隷が白人と結婚できるんだよ!
それは、法律違反だろ!
俺たちが、裁いてやるよ。茶色野郎。」
「・・・わかった。表に出よう。
ここで、始めたら
おやじが淹れた美味いカフェオレが飲めなくなる」
「・・・上等だ!逃げんなよ!」
そう。この場所では、まだまだ人種差別は根強く残っており
混血である俺は、よくこういう輩に絡まれる。
「よし。茶色野郎。俺たち、白人はフェアプレーを重んじてる。
だから心配すんな。
一対一のサシで勝負だ」
「それは、助かる」
「じゃあ。お互い後ろを向いて、3秒数えたら
振り返って撃ち合う。それでいいな?」
「それでいい」
奴らは、後ろを向いた俺を
いつも通り約束を破り3人で、一斉に撃って来た。
そして、奴らの拳銃が火を噴く前に
俺のオートモーションセンサー付きの
ピカピカの光線銃が奴らのおもちゃを
一瞬で破壊し、無力化した。
「なんだぁぁぁぁ!!?」
「俺の生きてる場所では、白人も黒人も仲良くやってる。
あんたらも一日でも早く、心を入れ替えろ。
そうすれば、カフェオレの美味さも解る」
俺は宇宙の流れ者。
空飛ぶタイムマシーンに乗って数々の星を巡ってる。
旅の目的は、色々あるが
その中でも、一番の目的は、
まだカフェオレを知らない人間に
淹れてもらう
はじめてのカフェオレを飲むこと。
この事を俺は止められない。
この不器用なカフェオレを止められないのは、
幼い自分を心配しながら、
はじめて母親が淹れてくれた。
少し不器用なカフェオレに似ているからだ。
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アメニモマケズ、カゼニモマケズ、明日も更新します。
カテゴリ:雑文
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